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プロローグ
自己紹介しておこう、おれの名前は織(おり)鹿野(ろの)秀(ひで)良(よし)――正直な話、この名前が大嫌いだった。
お祖父ちゃんが戦国武将の秀吉にちなんでつけた名前だが、これに思わぬケチがついた。小学三年の頃、クラスメートが秀良の名を《しゅうりょう》と、読めると言い出したのだ。
つまり首領だ。
そいつは苗字まで音読みでケチをつけやがった。
織の部分を織機の《しょっ》と読み、鹿を《ろ》じゃなく《か》と読めば苗字が《しょっかの》に早変わりすると言いだし、クラスのあいだで《しょっかのしゅうりょう》というのを言いふらしたのだ。
これは親も気がつかなかったらしい。それもそのはず、だれも子供向けの特撮番組で、それも半世紀も昔の悪の組織なんか考慮するもんか。
だが、おれにしてみれば大問題だった。
おかげであだ名はストレートに《イー!》になり、ヒーローごっこでは必ず悪役をやらされた。
それが中学校の卒業まで続いて、ほんとにうんざりしたよ。
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