死花少女

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あぁ、また長々と書いているうちに便箋がなくなりそうです。それではおばあ様。春先ですので、体調を崩さぬようにお気をつけください。 愛を込めて キャロリルルより 追伸 ファルファからは、便りはありましたか? あれから何年も経ちますが、毎晩あの子のことを思い出します。元気だと、それだけがわかればよいのですが。 二、 拝啓、おばあ様。 とても驚くことがありましたのでご報告させてください。なんと、我が学び舎にファルファが入学してきたのです。 「ルルねぇ」 と、あの明瞭で儚げな声に呼ばれて振り向くと、そこにファルファが立っていました。櫻の満開が過ぎ、花弁による花嵐に、後ろ髪を弄ばれている時に再会したのです。十二歳の時からずっと逢っていなかったせいで、ひと目ではわかりませんでした。私よりおチビさんだったのに身長がグンっと伸び、もう十六という年相応の落ち着きが備わっておりました。     
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