GIANT WATER MELON FESTIVAL

入道雲が沸き上がる高い空。
近所の農産物直売所の広場には、大勢の人が集まっていた。ローカルTV局まで来ている。
中央には、どこから集めたのか、割ったらスイカ太郎が生まれてきそうな、巨大なスイカがごろりごろりと陳列されていた。

ステージ上には“GIANT WATER MELON FESTIVAL”の横断幕。

この「フェス」の主催者である亜久里（あぐり）所長がニコニコして、麦茶を差し出してきた。

「今日は司会アシスタントのバイトを引き受けてくれてありがとう。ステージが華やいで嬉しいよ」

「こういうことは初めてなので、よろしくお願いします」

司会は市役所の女性職員らしい。

ステージから片桐君を探せば、計量スタッフに混じって、スイカの重さが発表されるたびに目をキラキラさせている。

そんな片桐君が今日は憎い。