てっきん

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 音楽室、それは学校の怪談で語られがちな場所。そう、誰も居ない場所から、楽器の音が聞こえて来るのだ。  事の起こりは暑い八月。本来、小学生は夏休みの八月。暑いから休みになっている筈の八月である。だけど、まだ運動会が秋だった頃、運動会で披露する鼓笛の練習が夏にあった。それも、強制で。  それも、学校にクーラーが普及していない時代。そして、夏休みの最中だから、練習の前まで部屋は締め切られていた。それに、幾ら窓を開けたとしても、直ぐに熱気は逃げない。炎天下の締め切った車内程ではないにせよ、凄く暑い。  朝礼で、立っているだけでも暑さでやられる子供も居る。朝のそこそこ涼しい時でさえ。それなのに、鼓笛練習は八月、それも昼食後の一番暑い時間に行われた。子供の体調が悪化しても無理はない。  その上、練習途中の水分補給さえ、小学生は許されなかった。これで悲劇が予測出来ない方が、今や異常でしょう。
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