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アルバムをめくっていると、誰かが俺を見つめてくるような気がして、それは一体何者なのか探してみると、どうやら一人の少女のようだった。 なぜだか、いろいろな写真に散在している。 向こうの方に小さく写っていたり、かと思えば俺と肩を組んでピースをしていたり。 でも、俺はこんな奴、知らなかった。 「誰、だよ、これ……」 徒競走で、俺の隣を走っているみんなの名前は簡単に言える。少々ブレているが、そんなの問題ではないくらいだ。なのに、応援席で手を振っている、こいつが分からない。 俺は、下の階にいるであろう母さんに聞こうとして、やめた。確かに撮ったのは全て母さんなんだろうけど、だからと言って同級生の顔と名前とを完全に憶えているかと言われれば、ノゥだろう。それより、自分の頭から掘り起こした方が早い気もするし、それに……まだ、ちょっと、その子から目が離せなかったのだ。 「ん?このアルバム、ページを追うごとに昔になってんのな……」 それほど厚いようにも思えなかったが、写真の中の俺はますます幼さを増していく。 (一人暮らしを始める前に、自分の物を整理してたらあったってだけなんだけど、案外面白いもんだ) と、そこで、俺はおかしなことに気がつき、手を少し止めた。 あの女の子が、まだ写っている。それは良いのだ。でも。 「こいつ、背ぇ高いまんまじゃん…」 俺の頭に手を置いて笑っている彼女は、中学生の格好をそのまま移してきたみたいだった。つまり、アルバムの最初のページにいた時と一緒。 おかしい。これはさすがに変だ。俺は何ページか遡って二つを見比べてみることにした。 「…っ?!」 手が動かない。 それどころか、勝手に次のページに進んでしまった。 色とりどりの大きな紙でできた花に、「ごにゅうがくおめでとう」と書かれている。幼稚園の入学式なのだろう。 その時、彼女は俺の椅子の後ろに立って微笑んでいた。 いや、こりゃあダメだろ!絶対なんか注意受けるはずだろ!俺も普通に座ってんなよ!こんな、こんな…… バラバラバラバラ!!! 何も触っていないのに、アルバムのページが一気に進んでいった。 かすかに風が起きた気がする。それだけで、俺の体は一瞬持ち上がったみたいに思えた。 しかも、俺は視線をそらすことができない。次々と出てくる僕は、小さく小さく。 「最後に、何か言うことあるかしら」 ふっと、声がした。パタン、とアルバムは閉じてしまって。
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