序章 生まれた街

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私が握っているのは、まるで松本清張の「黒革の手帖」 そのもののような記憶。 京都のその街を通るすべては、この世の新聞、テレビ、雑誌。 あらゆるものの裏舞台。 政治と経済の裏舞台。私はずっとそこで生きてきた。 そこを追われてなお、私の記憶こそその街で得た、この世の禁断の書そのもの。 私は偽りの自分と、この世の黒き秘密を握りしめて、東京の街を見下ろしていた。 私の悪夢はそこで終わった。 次章へ
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