夫がおかしい

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夫が最近おかしい。 「君の作ったフレンチトーストが食べたいな。とびきり甘いヤツ、作ってよ」 休日の朝九時、こんな歯が浮くような言葉とともにリビングのラグに寝転ぶ夫は私を見上げてふんわりと微笑む。 「ちょっと待ってて、今作るから」 お気に入りの真っ白いチュールスカートが汚れてしまわないように、カフェエプロンをつけながら、私は夫にバレないように小さくため息をついた。 夫が最近、なんだかおかしい。 どこがおかしいのか聞かれると難しいのだけど、結婚して五年も毎日一緒にいるものの勘とでもいうのだろうか。 見た目はいつもと変わらない夫のままなのだけど。 中身だけが違う人にでもなってしまったかのような違和感。 見た目は同じなのに、なにかが違う。 「まぁだぁ?」 リビングから夫の甘えた声がして「今卵と牛乳混ぜてる」と現状報告をすると「手伝おうか?」と返ってきた。 手伝いなんて今までしたこともないくせに。
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