0人が本棚に入れています
本棚に追加
そっと蓋を取ると、そこには夢と同じボールペンが静かに横たわっていた。
「あるじゃん・・・」
安心して泣きそうになる。
ボールペンを取り出し、さっきまでいた夢の世界を思い出す。
青いアルバムは存在しない。
きっと、この青い宝箱から連想して生まれたものだったのだろう。
ただ、あのアルバムにはとても大切なことが書いてあった。
今の私に必要な言葉。
お気に入りの猫の付箋に、夢で見たメモと同じことを書いていく。
『言葉にする』『行動する』
この二つだけで十分だ。
あれもこれも詰め込むと、それがストレスになって結果何もできなくなる。
「何をしようか。やりたいことはいっぱいあるのよ!慌てない。順番にやろう。楽しくなくちゃやる意味はないんだから。楽しむための調べものもいいな。図書館に行こうかな」
時計を見ると、もう午後の2時を過ぎていた。
「ウソ!そんなに寝てたの?5時間も!?」
たっぷりの睡眠で、頭がすっきりしている。どうやら熱も下がったようだ。
カーテンを開けると、午後の陽射しが部屋を明るく照らす。
グ~
盛大にお腹の虫が鳴いた。
「やだ」
最近は食欲もなかったのに、体は正直だ。心に力が湧くと体も連動して力を欲しがる。
「腹が減っては戦は出来ぬだよね。まずはご飯にしよう」
猫の付箋をボードに貼り、「よし!」と頷いてキッチンに向かった。
『言葉にする』『行動する』
緑色の字をもらった猫は、どこか誇らしげな顔をして「ニャ~」と鳴いた。
それを私は知らない。
知っているのは、宝物の緑のボールペンだけ。
最初のコメントを投稿しよう!