その道を通ってはいけない

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 浩は思わずブレーキを踏んだ。 「えっ、どうしたの?」 「いま……何か音がしたから……」 「冗談でしょ。何も聞こえなかったわよ」 「とにかく、確認してみるよ……」  シートベルトを外して降りると、後ろに回っていった。そして、やがて後方から、 「何も無かったよー」  という声がした。彩子は窓を開けて、 「でしょー? さー、早く車に戻ってー」  窓を閉めた彩子は、 (もー、ドジ! 絶対に六時になんか着けないわよ……)  ふとバックミラーを見ると、後部席に浩がいた。 「あれ? 浩……なんで?」  運転席のドアが開く音がした。  彩子は顔を向けて愕然(がくぜん)とした。  乗ってきたのは、頭から血を流している見たこともない男だった。
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