19人が本棚に入れています
本棚に追加
夏の暑い日差しが頭部を突き刺す中、チャラ男の純は車の鍵を閉めると、真っ黒いサングラスを外して目の前の建物を見上げた。
「おぉ~。久々に来たなっ! 我が母校――――南高校!!」
「だね~」
相槌を打つともを当然の如く放置して、俺たちは山の中にある母校――南高等学校の中へと足を踏み入れた。
実は昨日帰り際に、母校へと行ってみるかということになったのだ。それで、めんどくさがる純の運転のもと来たというわけだ。
純は見た目とは裏腹に友達思いだからぁ~なんて言ったからぶん殴られるだろうけど――(笑)
卒業生と言うこともあり、すんなりと中に入る事が出来た。
どうやら高校も夏休みらしく学校の中には生徒の姿は見られなかった。そして、俺たちはいつの間にか無意識の内に3年次のクラスの前まで来ていた。
「なんか緊張するな……」
岳がそう大きい体を竦めてそう言った。
「――――ぷぷっ」
「ん? 今、笑ったのは誰かなぁ? ん? んん? 浩太君かなぁ??」
「違うしっ! 智久だよ。――――ぐふふふ」
あからさまななすりつけを喰らった智久は逃げるようにドアを開け、中へと入って行く。そして、俺たちも釣られて中に足を踏み入れると、そこには不思議な光景が広がっていた。
「誰かこの部屋使ってたのかな?」
智久がそれを見詰めながら言った。クラスには32脚のイスと机がある。
そして、その1つ1つの机の上に何故だがチェスの駒が置かれていた。そして、黒板には――――――
「れっつ・ぷれい・あわー・さくせす……?」
「私たちの成功を祈ろう――――か」
「流石英語学科だな。英語は岳に任せるぜぃ……」
「いや、これくらい普通にわかんだろ? まさか純はわからなかったの? ぷぷっ」
「うるせぇ隆生。俺だってそのくらいわかるわっ!」
最初のコメントを投稿しよう!