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都会育ちの私にとって、田舎の祖父母の家は楽しい
海沿いに建つ古い母屋の近くには、木造で黒い漁師小屋
どこもかしこ探検ごっこが出来る、小学校三年生にはもってこいの家だ
従兄弟も沢山で、とにかく毎日騒がしい
興奮しながら遊びまくって、夏の一週間以上が過ぎていく
そんなある夜、祖父が珍しく出かけていった
硬い表情をしていたのを覚えている
ちょうど従兄弟達も何人か帰っていて、私も明日のフェリーで帰る予定だった
その夜、祖父は帰ってこなかった
波の音が妙に大きく聞こえて、煩くて眠れない
寝苦しくて、私は起き上がった
そして、ふと海の方を見て固まった
ザザァン……ズッ…ザザザン……ズズズッ…
押し寄せる波飛沫の合間、見間違いかと思えるくらい薄く、無数の手が這っては押し戻されていくのを見た
怖くなって、息を飲んで震えていた
あれを見続けるのはいけない! 咄嗟に思った
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