21人が本棚に入れています
本棚に追加
……青山家……
美香の家は住宅地に並ぶ2階建の一軒家だった。
縁は達也に言った。
「達也、お前そこの電柱の影に隠れてろ……」
達也は怪訝な表情で言った。
「何でだよぉ?」
縁は呆れて言った。
「お前さっき家に電話したろ?……そんなお前が家の人にしつこく聞いたら、家の人が心配するだろ?」
達也はすんなり納得した。
「なるほど……」
達也は近くの電柱に身を隠し、それを確認した瑠璃が美香の家のインターフォンを押した。
インターフォン越しに女性の声がした。おそらく美香の母親だろう。
「はい……どちら様ですか?」
瑠璃はインターフォンに向かって言った。
「雨家ですけど……美香ちゃんは?」
「ああ……瑠璃ちゃん?ごめんなさい……美香はまだバイトから帰っていないわ……」
瑠璃は惚けた様子で言った。
「えっ?そうなんですか?祭りに行く約束してたんですけど……」
「まぁ美香ったら……昼前に出て行った切りで……ごめんなさいね」
瑠璃は言った。
「いえ、いいんです……ありがとうございました、失礼します」
縁は言った。
「昼前までは家にいたようだな……」
すると、桃子が電柱に身を隠している達也を見て言った。
「あいつ誰かに絡まれてるぞ」
桃子が言うように、達也はどこかの主婦らしき女性に何か言われている。
縁達は慌てて達也に駆け寄った。
達也は泣きそうな顔で主婦に何か言っていた。
「だから違うよ……俺は美香の彼氏で」
主婦は言った。
「ストーカーは皆そう言うのよっ!」
縁は揉めている二人に割って入った。
「ちょっと達也、何やってんだ?」
達也はすがるように縁に言った。
「縁……助けてくれよ!このおばさんが……」
主婦は激昂した。
「おばさんとは何よっ!おばさんとはっ!」
縁は怒っている主婦に言った。
「ちょっと落ち着いて……こいつ俺の友達なんだけど、何か?」
縁の登場で、主婦は達也が不審者で無いのが理解できたようで、バツが悪そうに言った。
「あら……青山さんの家を覗き見してるから、私てっきり……」
最初のコメントを投稿しよう!