第八話 夏祭りと秋の訪れ

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縁は主婦に言った。 「この辺りの方ですか?」 主婦は言った。 「ええ……青山さんの隣に住んでるのよ。窓からこの子が電柱の影に隠れて、青山さんのお宅を覗き見してるから、てっきり……」 縁は主婦に言った。 「前にもこのような事が?」 「最近物騒でねぇ……変な男がうろついてるって、近所で噂があって」 「変な男が?」 「そうなのよ……帽子を深く被った背の高い男が……」 縁は顎を撫でた。 「あんた達、高校生でしょ?物騒だから早く帰りなさいよ」 そう言うと主婦は美香の隣の家に帰って行った。 瑠璃は心配そうな表情で縁を見た。 「新井場君……」 縁は腕時計を見て言った。 「時刻は午後8時30分……青山さんの行方がわからなくなって、およそ8時間30分か……」 達也は泣きそうな顔で言った。 「縁……」 縁は言った。 「何かあったのは間違いなさそうだ……それに、時間もだいぶ経過している……」 桃子は言った。 「急いで探さないとまずいな」 縁は言った。 「しかし、何処に消えた?店からここまで、ほぼ一本道だ……雨家さんの話だと、青山さんはサボったりするような娘じゃない……」 桃子は言った。 「どうするつもりだ?」 縁は言った。 「さっきのおばさんが言っていた、不審者の情報を聞きながら、ここから店までに何か痕跡がないか探そう」 瑠璃が言った。 「警察に連絡をしたほうが……」 縁は言った。 「百合根署の今野刑事に、俺から連絡を入れておくよ……拉致事件の可能性もあるからね」 達也は顔面蒼白になった。 「ら、拉致って……縁……」 縁は言った。 「達也っ!しっかりしろっ!とにかく今は青山さんの無事を信じて探すぞ」 夏休み最後の夏祭り……やはりただでは済まなかった。
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