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②
これまでの事を今野に電話で報告し、縁は皆に言った。
「今野さんに連絡を入れておいたよ……雨家さんと青山さんのバイト先で待ち合わせをした」
桃子が言った。
「何故バイト先で待ち合わせを?」
縁は答えた。
「ここに来るまでに、防犯カメラが3つあった……見た感じ3つ共SDカード対応のカメラだった。今野さんにそのSDカードを持ってきてもらうように、頼んでおいた」
桃子は納得した。
「なるほど……それをバイト先で確認するのだな……」
「そう言う事……あと、パン屋が一軒まだ営業していたから、戻るついでに聞き込みに行こう」
縁はそう言うと元来た道を戻って行った。
他の3人も縁を追うようにパン屋に向かった。
パン屋に向かう道中……達也が縁に言った。
「なぁ……縁……」
「どうした?」
達也は感心した様子で言った。
「お前よく防犯カメラがあるって気付いたな……普通は気付かないぜ」
縁は言った。
「シンプルな住宅街だからな……見る所も少ないし、すぐに気付いたよ」
達也はさらに感心した。
「すげぇな……俺なんて美香の事で頭がいっぱいだから、それどころじゃなかったよ」
「彼女が行方不明なんだ……仕方がないよ」
達也は言った。
「じゃあ……お前も、桃子さんが行方不明になったら……うろたえるのか?」
「えっ?……」
縁は考えた。
もしも桃子が行方不明になったら……。この間の船の事件の時、桃子は神田に襲われ、換金されていた。
あの時の縁は、確かに冷静さを欠いた。
縁は達也に言った。
「そうだな……実際そうだった」
縁と達也が話している内にパン屋に到着した。
住宅街に建っているパン屋は、家を改築してパン屋を営んでいるようだった。
店の前で瑠璃が言った。
「このパン屋さんで、美香ちゃんは毎朝……お昼ご飯を買ってるって、言っていたよ」
桃子は言った。
「だとしたら、今日も寄っているかもしれないな……」
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