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……喫茶店風の声……
夏休みの最後の日、縁はいつも通り風の声で、いつも通りアイスカフェを飲んでいた。
巧が縁に言った。
「明日から新学期だな……」
「そうだよ……夏休みなんてあっという間だったよ」
少しふて腐れた縁は、片肘をつきながらアイスカフェに刺さったストローをくわえている。
そんな縁に巧は言った。
「それにしても……楽しい夏休みだったろ?」
巧のその言葉は、事件だらけだった夏休みを過ごした縁に対しての、明らかな嫌みだった。
縁は恨めしそうな目をして、巧に言った。
「あんたの方が楽しそうだけど……」
巧はニヤニヤしながら言った。
「わかる?」
「まったく……他人事だと思ってよぉ……」
巧は言った。
「でも明日から学校だろ?今まで通りに先生とは会えないんじゃないの?」
縁は顔を上げた。
「それもそうだな……」
桃子に会う事が少なくなると言う事は……事件に巻き込まれる可能性も少なくなる。
縁は言った。
「でも学校つまんねぇしな」
巧は言った。
「何で?縁、友達いないのか?」
「そんなんじゃないよ……友達はいるよ」
実際縁には複数の友達がいる。夏休みの間は桃子と一緒の時間が多かったので、友達と遊ぶ機会があまりなかっただけで、友達は結構多い。
巧は言った。
「じゃあ何でつまんねぇんだ?」
「授業がつまらん」
巧は納得した。
「なるほど」
巧が納得したように、実際縁の学力は大学を卒業出来る程の学力があった。
と、言うのは……縁は13歳ですでに飛び級でアメリカの大学を卒業している。
帰国して高校に通っているのは、縁の母の意向だ。
そんな縁にしてみれば高校の授業など、つまらない以外の何物でもなかった。
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