第八話 夏祭りと秋の訪れ

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桃子の言葉に縁と達也は、自然と背筋を伸ばした。 桃子は達也に言った。 「縁の学友か……私の縁がいつも世話になっている」 達也は顔を真っ赤にして言った。 「わ、私の……縁?」 縁はすかさず言った。 「どさくさ紛れに何を言ってんだよっ!達也っ、違う……誤解だ」 達也は桃子に見とれていて、縁の声が耳に入っていないようだ。 縁は桃子の手を引っ張って、呆けてる達也に言った。 「じゃあな、達也……また学校でな」 縁は逃げるように、桃子の手を引っ張りその場を離れた。 縁に手を引かれながら、桃子は言った。 「縁……どうした?今日は積極的だな」 「何を言ってやがる……この場から離れたいだけだっ!」 学校で変な噂が広がらないか……縁の頭はその事でいっぱいだった。 それからしばらく縁と桃子は、夏休みを楽しんだ。 高校生男子と女子大生が普通に楽しむように……。 縁と桃子が祭りを楽しみながら、境内を歩いていると、いつの間にか先程達也と遭遇した、大きい木まで戻ってきた。 すると縁は何かに気付いた。 「うん?達也……」 桃子が言った。 「どうした?」 「いや、達也のやつまだ木の下にいる……しかも一人で」 縁の言う通り、達也は一人で木の下に立っていた。 達也の彼女らしい人影は……近くにはなかった。 縁は達也の立っている木の下に行った。 「達也っ!」 縁の呼び掛けに達也は反応した。 「あっ、縁……」 達也の表情は暗い……縁は達也に言った。 「まだ彼女は着いていないのか?」 「ああ……」 桃子は言った。 「すっぽかされたのではないか?」 縁は慌てて桃子に言った。 「ちょっ、ちょっと桃子さんっ!」 達也はさらに暗い表情で言った。 「やっぱり……そうなのかな……」 縁は言った。 「おいっ……落ち込むなよ。彼女から連絡は?」 達也は言った。 「さっきからずっと電話してるけど……電源が切れてるんだ」 桃子は言った。 「着信拒否ではなさそうだ」 縁は言った。 「桃子さんは黙っててっ!達也、彼女とは何時に待ち合わせを?」
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