第八話 夏祭りと秋の訪れ

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達也は言った。 「夜の7時にこの木の下で……彼女はバイトが終わってから来る予定だったから……残業かな?」 縁は自分の腕時計を見た。時刻は午後8時……待ち合わせの時刻から1時間も経過している。 縁は言った。 「彼女と喧嘩した?」 達也は言った。 「喧嘩なんかしねぇよっ!俺達はラブラブなんだぜ」 桃子は言った。 「ラブラブ……」 縁は顎をさすった。 「う~ん……すっぽかす理由は無いな……」 達也は言った。 「まさか事故にでもあったんじゃ……」 達也は自分で言って、顔面蒼白になった。 縁は言った。 「彼女のバイト先は?遠いのか?」 「いや、百合根神社の近くにあるファストフード店だよ」 そのファストフード店は縁も知っている。この神社から距離で言うと200~300m程だ。 縁は言った。 「事故にあったとしたら……救急車やパトカーのサイレンが聞こえるはずだ……ここに着て1時間半程経つけど、そんなサイレンは聞こえていない」 桃子が言った。 「事故では無さそうだな」 達也は安堵の表情で言った。 「よかった……」 縁は言った。 「安心してる場合じゃ無さそうだぜ……達也、彼女の家は?連絡は?」 達也は慌ててスマホを取り出した。 「いっ、今、電話してみるっ!」 そう言うと達也は彼女の家に電話した。 電話を終えた達也の表情は再び暗くなった。 「帰っていないって……」 縁は言った。 「携帯は繋がらず……家にも帰っていない……」 達也は泣きそうな顔で言った。 「縁……」 縁は達也を見かねて言った。 「達也……彼女のバイト先に行こう」 達也は驚いた感じで言った。 「行くって……縁、彼女を一緒に探してくれるのか?」 「あたりまえだろ……いいよな?桃子さん」 桃子は腕を前で組んだ。 「縁の学友が困っているんだ……私も探すぞ」
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