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達也は言った。
「夜の7時にこの木の下で……彼女はバイトが終わってから来る予定だったから……残業かな?」
縁は自分の腕時計を見た。時刻は午後8時……待ち合わせの時刻から1時間も経過している。
縁は言った。
「彼女と喧嘩した?」
達也は言った。
「喧嘩なんかしねぇよっ!俺達はラブラブなんだぜ」
桃子は言った。
「ラブラブ……」
縁は顎をさすった。
「う~ん……すっぽかす理由は無いな……」
達也は言った。
「まさか事故にでもあったんじゃ……」
達也は自分で言って、顔面蒼白になった。
縁は言った。
「彼女のバイト先は?遠いのか?」
「いや、百合根神社の近くにあるファストフード店だよ」
そのファストフード店は縁も知っている。この神社から距離で言うと200~300m程だ。
縁は言った。
「事故にあったとしたら……救急車やパトカーのサイレンが聞こえるはずだ……ここに着て1時間半程経つけど、そんなサイレンは聞こえていない」
桃子が言った。
「事故では無さそうだな」
達也は安堵の表情で言った。
「よかった……」
縁は言った。
「安心してる場合じゃ無さそうだぜ……達也、彼女の家は?連絡は?」
達也は慌ててスマホを取り出した。
「いっ、今、電話してみるっ!」
そう言うと達也は彼女の家に電話した。
電話を終えた達也の表情は再び暗くなった。
「帰っていないって……」
縁は言った。
「携帯は繋がらず……家にも帰っていない……」
達也は泣きそうな顔で言った。
「縁……」
縁は達也を見かねて言った。
「達也……彼女のバイト先に行こう」
達也は驚いた感じで言った。
「行くって……縁、彼女を一緒に探してくれるのか?」
「あたりまえだろ……いいよな?桃子さん」
桃子は腕を前で組んだ。
「縁の学友が困っているんだ……私も探すぞ」
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