第八話 夏祭りと秋の訪れ

5/25
前へ
/166ページ
次へ
達也は桃子の好意に感謝している。 「見ず知らずの、縁の彼女にまで……ううう、感激です」 縁は言った。 「だから彼女じゃねぇよっ!」 桃子はまんざらでもなさそうだ。 「気にするな少年……私は小笠原桃子……縁の大事な人間だ」 縁は言った。 「ややこしい自己紹介をするんじゃないっ!」 こうして3人は達也の彼女の働くファストフード店に向かった。 百合根神社を出て徒歩5分程で目的地のファストフード店に到着した。 店には駐車場があり、そこそこの敷地面積だ。 百合根神社の近くもあってか、店は賑わっていた。 外から店の様子を伺いながら縁は言った。 「彼女いるか?」 達也は首を横に振った。 「いや……いない」 すると、店の裏口から高校生くらいの女子が一人、出てきた。 その女子は店の前で店内の様子を伺いながら伺っている3人に声を掛けた。 「新井場君と森谷君……」 その声に反応した縁は、その女子に言った。 「雨家さん……」 声を掛けた女子はクラスメートの雨家瑠璃だった。 瑠璃は桃子にも気付き挨拶をした。 「小笠原さんっ!この間はありがとうございました」 桃子は笑顔で瑠璃に言った。 「瑠璃か……気にするな。元気そうでなによりだ」 縁は言った。 「裏口から出てきたって事は……雨家さんこの店で」 瑠璃は言った。 「そう……バイトしてて、今終わったところ……それよりも、どうしたの?こんな所で……」
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加