7人が本棚に入れています
本棚に追加
/210ページ
「お前ら、こいつに食われたくなきゃ、どっか行っとけ」
生き残っていた猫と犬のメージャはこくこくとうなずき、他の仲間たちと一緒になってどこかへとあわてて立ち去っていく。
どれだけ彼らが力を蓄えたメージャたちであっても、相手はあのヘリヤだ。並のメージャに敵う訳がない。
「あれ? もしかして食べちゃ、まずかった? マトのお友達だった? なら、ごめんねぇ」
やってきたのは先ほどの猫や犬のメージャと違い、完全に人間そのものの姿をしている女だ。
「いや、あいつらが誰なのかも俺は知らん」
「だと思った」
にかっとヘリヤは笑う。
「なんかあいつら、勝手に集まってくるんだよな」
メージャの価値観で評すれば、この上もなく美しい女だ。ただ、マトの好みからは外れているだけで。
そういえばヘリヤも以前似たようなことを言っていたなと考えが至ったところでマトは苦笑した。
きっとそれは、メージャにありがちな価値観なのかもしれない。だから二人は友人でいられるし、同等の力を有したメージャ同士が恋人になった例を影の国ではあまり見かけない。
ヘリヤは遠くにまだ見えてた一体のメージャに向かい、片手を伸ばす。まだ食べ足りていなかったのだろう。メージャの姿は一瞬にしてかき消えた。
最初のコメントを投稿しよう!