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マトは目をむいた。起き上がるほどではないが、ヘリヤ程のメージャであればかなりの『重さ』があるに違いない。
「アンタの魂を引き上げられるだけの魂が、いるっていうのか?」
ヘリヤは勝ち誇ったように、胸を張る。
「そう。見つけたの。あたし、きっと彼女を見つけ出して見せるの。そして絶対、彼女のサバクになってみせるっ!」
「それは見つけたのか、見つけてねぇのかどっちなんだよ」
サバクになれば当分の食事の心配が無くなるどころか、能力だって上がる。
当然リスクもある。引き上げられるときの魂の重みに鎖が耐えかね、切れてしまえば契約の機会を失うし、自身の身の危険に繋がる。それに、それだけ優れた人間であればもう、誰か他のメージャが目をつけていないとも限らない。
「だから、手伝ってよ、マト」
「はぁ?」
にこやかに、ヘリヤは面倒そうな話をマトに持ちかけてくる。
「極限まで薄くしたあたしの分体を撒くからさ、マトも分体になってあたしの契約者を探すの手伝ってよ」
「めんどくせぇ」
「ついでに、他のコに盗られないように、あたしが契約できるまで守るのも手伝ってね」
「めんどくせぇ、そんな面倒なこと、やってられるか」
「ねぇ、マト、あたしたちの仲じゃん」
「おい、どんな仲だよ」
「世話してあげたじゃん」
「礼はもう返した筈だ」
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