1.影の国にペンギンさんはいますか

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 マトは目をむいた。起き上がるほどではないが、ヘリヤ程のメージャであればかなりの『重さ』があるに違いない。 「アンタの魂を引き上げられるだけの魂が、いるっていうのか?」  ヘリヤは勝ち誇ったように、胸を張る。 「そう。見つけたの。あたし、きっと彼女を見つけ出して見せるの。そして絶対、彼女のサバクになってみせるっ!」 「それは見つけたのか、見つけてねぇのかどっちなんだよ」  サバクになれば当分の食事の心配が無くなるどころか、能力だって上がる。  当然リスクもある。引き上げられるときの魂の重みに鎖が耐えかね、切れてしまえば契約の機会を失うし、自身の身の危険に繋がる。それに、それだけ優れた人間であればもう、誰か他のメージャが目をつけていないとも限らない。 「だから、手伝ってよ、マト」 「はぁ?」  にこやかに、ヘリヤは面倒そうな話をマトに持ちかけてくる。 「極限まで薄くしたあたしの分体を撒くからさ、マトも分体になってあたしの契約者を探すの手伝ってよ」 「めんどくせぇ」 「ついでに、他のコに盗られないように、あたしが契約できるまで守るのも手伝ってね」 「めんどくせぇ、そんな面倒なこと、やってられるか」 「ねぇ、マト、あたしたちの仲じゃん」 「おい、どんな仲だよ」 「世話してあげたじゃん」 「礼はもう返した筈だ」     
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