眼があっている

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眼があっている

 誰かと縁がないだろうかと思いながら、兵頭耕作は縁日にやってきた。  小さい頃はよく来たよな、などと思いながら、懐かしい出し物が半分ほどある店先を冷やかしている。  ふと視線を境内に続く参道にやると、耕作と同年代の女子がこちらを窺っている。耕作は後ろを振り向いたが、自分を見ているようだと感じた。  そして耕作は何を思ったのか、反復横飛びを始めた。この行為は、女子の視線を追うためだ。耕作は確認が終わって自分を見ているという確信を得た。  耕作は失礼かもしれないが、などと思いながらも、女子に声を掛けようとした。 「…うふふ、面白い方… 視線、追っていたのね。 …あなたを見ていました」  耕作は、自分に興味があるのか聞こうとした。
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