2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
第一章
「おーい、起きなさい!いつまで寝てるのかしら」
起こされる声に反応するかのように目が覚めた。体がだるい。記憶があまりないが変な夢をみたせいなのか?目の前には少女がいる。誰だっけ?
「えーと、どちら様でしょうか」
そういうと彼女は驚いた顔をしてこちらを覗き込んできて額に手を当てた。なんだ?何かおかしいことでも言ったか?
「は?寝ぼけてるの?私は来栖史亜よ!あ、少し熱っぽい。薬とか持ってくるからおとなしく寝とくこと。いいわね?」
「あ、ああ…。わかったよ史亜ちゃん。」
聞きたいこととかいろいろあったがその場の雰囲気で返事をしてしまった。さて朝食ができるまでおとなしく待っているか。身支度をしてその辺に置いてあった本を読んでいると階段を上がってくる音が聞こえた。彼女だろうか?扉を開けるとそこには心配そうな顔をした高校生くらいの少年がいた。制服も来ているこれから学校へ向かうといったところだろう。
「姉ちゃんから話は聞いてるお大事に」
「気を使ってくれてありがとう。これから学校なのか?」
「うん。ちょっと物を取りに来ただけ。じゃ。」
行ってきますと小声で言った。再び本を読んでいるとまた階段を上ってくる音が聞こえた。
「お待たせーさっき瑛哉に会ったでしょ?まったく相変わらずの口下手なんだから。アイツ」
史亜ちゃんと瑛哉君は姉弟らしい。懐かしいな俺にも兄弟がいたような気がする。覚えてないけれど。
「とりあえず、薬と簡単に食べれるものここに置いとくわね。いけないもうすぐ九時ね店の開店をしないと」
「あの、これ食べたら俺も手伝い行くよ。少しくらいの熱なんてすぐに良くなるだろうし」
「駄目よ、安静にしてないと寝てないと」
「なんだか気分がモヤモヤ―とするんだ。黙ってるよりも体動かす方が好きだからさ。いいでしょ?」
彼女は少し悩んだ後、好きにしたらいいといい準備をしに下の階へ降りていった。寝起きは色々と変な感覚がしたが落ち着いてきたし、熱っぽいのも無くなってきた。俺は来栖家で経営している古本屋で働いてたんだっけか。空き部屋を借りて生活していて。なんで起きたとき一瞬そのことを忘れていたんだろう。
朝食と一応薬も飲んで。俺も店の方へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!