【第二章:スズと風のサーカス団シルフ 二】

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 猫型大型トラックは土煙を上げながら、テントの前に停止した。  と、ほぼ同時に胴体部分のハッチが開き、階段になった。  いつの間にか奇妙な音楽は止み、その代わりにドラムロールが流れ始めた。  次の瞬間、階段の最上段に、すらりとした美しい足が現れた。  ショッキングピンクにキラキラとした花と蝶の刺繍のある、膝まで覆うロングブーツの足だ。  その長いブーツの上には、白い太ももと、それを隠すふんわりとした薄いピンク色のレースが何重にも重なったスカートが付いている。  スカートはレオタードのようなぴったりとした上半身の衣装に続き、ブーツと同じ色だがより大きく艶やかに宝石のような刺繍が施されたその衣装の背中では、大きな蝶の羽が羽ばたいていた。  羽の色は、その持ち主の透き通ったグリーンの瞳に合わせたかのように美しい、光沢のある青と緑のグラデーションだ。  ドラムロールの最高潮の高まりと共に姿を現したのは、日の光に輝くハチミツ色の金髪をショートカットにした、人間・マレビトタイプの勝気そうな美少女だった。
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