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「さあさ、帰ってまいりました、皆様ご存知、我らが風の国のサーカス団、シルフのメンバーをご紹介いたします!
まずは異世界から訪れた奇跡・可憐な少女の贈り物!
空中ブランコを彩る花の妖精、フーカ・ロール!!」
ドラムロールに変わって、よく通る男性の声で口上が述べられた。
耳に心地よい上に、若々しいが深みがあり、言葉の意味が心に刻まれる、不思議な魅力のある声だ。
少女はその声に答えて両手を高く上げて満面の笑みを浮かべる。
金の髪を留めるようにして、額の左側につけた、赤い花のような髪飾りが太陽の光を受けて輝いた。
「ただいまー!!」
マレビトタイプの彼女はありったけの声で観客を見渡しながら叫ぶ。
掲げられた細い両腕は肘までの長い手袋で覆われている。
ブーツの色とデザインに合わせた、ピンクの手袋だ。
「おかえりー!!」
老若男女様々な種類の観客の声が飛ぶ。
だがそのどれもが心からの歓迎と祝福の声だ。
その声に答えるように、少女は階段を笑顔で駆け下りる。
まるで体重を感じさせない、滑るように軽やかな足取りだ。
キラキラと反射する羽や衣装の光は、まるで彼女自身から放たれているかのように見える。
「妖精って、本当にいるんですね」
スズは思わず口に出していた。
ギンコはそれを聞いて一瞬目を見開いてスズの方を見たが、少女から目を離せない様子の彼を面白そうに眺め、「そうだねぇ」と、また彼女の方に向き直って笑った。
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