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「恋する心は女性を最も美しく輝かせる妙薬と申します。
大変長らくお待たせいたしました、うら若き乙女のお嬢様方、そして麗しきご婦人方。
そのハートを射抜かれしは、雷光きらめく神速のナイフか、それとも、火焔のごとく熱くしなる愛のムチか……電撃の貴公子、ナイフ投げのエッジと、炎の魔獣使い、マルコ!!」
「キャーッ!」という女性たちの黄色い声援が、彼らの姿が現れる前から響き始めたが、その姿が目に映ると、さらに甲高い、悲鳴に近い絶叫になったのには驚いた。
向かって左側に現れたのは、裾の長い黄色と白の中国風の拳法着を着て、鼻眼鏡をかけた狐の男性だ。
鋭い目付きでくいっと眼鏡の位置を直すと、瞬時に腕を交差させ、袖から何かを観客席に向かって放った。
放射状に何十本か投げられたそれは、白い薔薇の花だった。
運よく花を手にした女性たちは何か叫びながら、歓喜の表情を浮かべている。
右側に現れたもう一人の男性は、片眼鏡でやや気難しそうなライオンだった。
マーチングバンドのような明るい赤のジャケットと白いズボン。
房のある金の肩飾りの上には赤い目をした黒い鳥、頭に三本の赤い冠羽のある、カラスのような鳥がとまっている。
彼が肩の鳥に向かって何か話しかけると、その黒い鳥は「しょうがねえな」というように瞬間的に首を左右に傾け、観客の頭上高く、勢いよく飛び上がった。
そして小さな黒い点にしか見えなくなるほどの上空に達すると、ピタリと動きを止め、回転しながら急降下し始めた。
地上に近づくと共にその体は炎のような光に包まれ、まるで大きなネズミ花火のように火花を散らし始めた。
黒い鳥は空中に弾ける様に炎と火花で大輪の赤い薔薇の花を描くと、観客がそれに見とれている間に、ライオンの肩に音もなく着地した。
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