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カラスのような鳥は「心底めんどくさい」というような素振りでさらに後方にいる、老師と呼ばれていたお爺さんネコのテンと、ハチワレ・タキシードの団長ブラッドの元へ飛んでいった。
「やあ久しぶり、ギンコ。元気だったかい?」
細く鋭い目をより細くして、狐のネコタミ、エッジは微笑んだ。
「さすが師匠、耳が良いね」
ギンコが笑ってエッジとハグをした。
「この人はね、ボクのナイフ投げの師匠。もっともボクが得意なのは――」
「弓なのだ。ギンコのナイフと弓の腕前では、頭に載せて良いのが、リンゴかチェリーか程は違う」
静かに笑い、ギンコの頭をくしゃくしゃとしながらライオンのネコタミ、片眼鏡のマルコが言い添えた。
「じゃあ後で」「後でな」
二人がそう言いながら静かに立ち去った。
周囲の観客の女性陣営は、まったく静かじゃなかったが。
その後、カラスのようなあの黒い鳥がもの凄いスピードで飛んで帰って来て、二人の直前でほんの少しだけ高度を上げ、マルコの肩にふわっと音もなく着地した。
その鳥が目の前を通る際、「よう、猿の子孫!」と、しゃがれた成人男性の声が聞こえた気がしたが、気のせいだとスズは思うことにした。
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