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思っていたよりもずっと高い階段を昇ると、先ほど出会ったシルフのメンバーが待ち構えていた。
入るとすぐに、大きな年輪を見せる円形の木のテーブルと、それを取り囲むように配置されたいくつかの木の長椅子があった。
どちらも動かないよう床に固定されているため、それはそのままこの車が“移動する家”だということを認識させる。
奥の方には仕切られた調理場らしきものがあり、そこから流れる生活感と温かな雰囲気が、ここはダイニングキッチンであり、彼らみんなの集まる団欒の場なのだと伝えていた。
そうでなくとも、ギンコを取り囲むようにして集まってきた、八人のシルフのメンバーの表情からそれは感じ取れた。
「もう、風の国に帰ってるならそう言ってよ、お兄ちゃん!」
フーカが軽く胸を叩くようにしながらギンコに抱きつく。
先ほど背中に着けていた作り物の蝶の羽は、もう外している。
自分の仮面を脱ぎ、彼女の頭を軽く撫ぜて笑いながら、「はいはい、色々極秘任務があってね」とギンコが答える。
「それだったらもうバレてるわよ、さっさとその坊やを紹介しなさいな」
面白そうにカラ、耳の房毛の長い美女が言う。
「ああ、そうだね。えーと、じゃあ、スズ、こっち来て」
入り口近くでなんとなく決まり悪そうにしていたスズを呼び寄せる。
「あ、さっきの新人さんだね! よろしくね、私はフーカ。
サーカスでは空中ブランコを担当してるの」
そう言って、にこやかに右手を差し出した。
スズは内心ドキドキしながら焦って手を差し出したが、握手した瞬間、フーカがビクリとして手を離す。
表情は先ほどまでと打って変わって硬く、困惑したものになっている。
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