【第二章:スズと風のサーカス団シルフ 六】

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「話が思い切りそれたから元に戻すけど、まあ、じゃあ、スズ君を水の国までシルフの一員として連れていって欲しいって、そういうことだね? ……どうします、老師」  ブラッドが、髭の老猫テンに尋ねた。 「……そうじゃなぁ……。ひとまずギンコ、ブラッド、こちらで日程の調整を考えてみることにしようか。……よろしくな、スズ君」  首を傾けるようにして、テン老師は笑った。 「あ、オレ……掃除とか雑用なら何でもします! よろしくお願いします!」  スズは急いで頭を下げる。テンはしゃべりかたも動きもゆっくりな、どこから見てもお爺さんネコなのだが、なぜだか緊張する。  オウコやマルコのほうが見た目はよほど恐ろしいのだが、生物として何か触れてはいけないような……畏怖というか、“何か”を感じる。 「じゃあね、スズ!   夕方くらいまで、てきとーにみんなに構ってもらってて。みんな、彼のこと、よろしくね~」  ギンコが手を振って、テンとブラッドと共に、向かって左側のドアに入って行った。 「っ!!」  半分口を開けて手をそちらに伸ばしたが、スズの置き去り感を高めるようにパタンと静かにドアが閉まった。  数秒後、諦めてうなだれたスズの足元には、とてもワクワクした顔のリンクがいた。
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