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ＥＲＲＯＲゼロ：エラーアース

そしてもう一つのパターンは、過失による歴史の歪みだ。
中には、歴史を変えるつもりはない者が大きく歴史を動かしてしまう時がある。
わかりやすい例でいうと、たまたま過去を訪れていた時空旅行者に、街で出会った人が恋に落ちてしまうパターンだ。
それをきっかけに本来過去で出会うはずの二人が出会わず、産まれるはずの子が産まれない……それも巡り巡って歴史に大きな影響を与えることになりかねない。

そのような故意ではない歴史変動に関しては、なるべく時空旅行者の人権が守られることになっている。
もちろん、過失だからと言って限度を超える大きな変動が起こった場合は罪に問われることになるが。

先ほどの本の話に戻るが、15ページの内容を修正した場合、200ページまでのすべてのページを読み返し内容を変えるにはとても膨大な時間がかかる。
歴史も同じように大きな変化が起きたある地点から変化が始まり、2072年の僕たちに影響が出るには数時間～数年のブランクがある。

数日後、隣にいたはずの人間がいない……そうならないために、その限られた時間の中で、人類は歴史の修正に取り掛かる。