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その歴史の監視・修正を行っているのが、ここ、通称“エラーアース”だ。
そしてエラーアースには別の大きな役割がある。
それは“歴史上そこに存在しては困る人”の保護だ。
先ほども言ったように歴史修正は、本来歴史変動地点の直後に行われる。
しかし中にはその目をかいくぐって逃げ切ってしまう人がいる。
例えば行方知れず=“死去”と言う形で処理され、歴史上何ら影響がない場合。
しかしその場合“実は生きていた”という歴史が生まれてしまっては困る。
もしくは修正人から逃げ切り、愛する人との間に子を持ってしまった場合。
そこまで行くと、新たに産まれた命への倫理を問う人々が現れる。
そういう異常事態にたどり着いてしまった場合、彼らを殺害したところでそれは無意味なものだ。
無意味な殺害は当然、人々から好まれるものではない。
そこで、僕たちはそこから先の歴史を可能な限り近い地点で軌道修正することで、未来に大きな影響を与えない新たな歴史を作り上げる。
その歴史を、僕たちは“エラー”と呼ぶ。
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