プロローグ

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プロローグ

 人は  春になると、冬を忘れ  夏になると、春を忘れ  秋になると、夏を忘れ  冬になると、秋を忘れる    人は何も覚えてはいません  ただ、忘れていくだけなのです  たとえ、それがその者にとっていかに大切なものだったとしても  いかに大きく、その者を包んでいたのだとしても  そして僕も、ある人を忘れてしまいました  いつの間にか、居ないのです  僕の心の中に  昔はいつだって居たのに  だから僕は探しています  行方不明となってしまった  心の中のあの人を
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