赤いアルバム

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 子供の頃の思い出といえば人並みで楽しい事も嫌な事もあった、  悲しい事もあった。  不思議と子供の頃に遊んでいたおもちゃや小物に触れると普段思い出さない景色が頭に浮かんだ。  しばらくいじめられた事もあった。  思い出すと重たい気持ちになった。  友達と近所の公園でブランコに乗って遊んだ事もあった。  別に珍しい事でもないがなぜかブランコに乗っている場面が頭に浮かんだ。  当時の友達が今どうしているのか私は全く知らない。  実家を出てから自然と親交が途絶えたから仕方なかった。  思い出に浸りながらアルバムを探したが結局自分の部屋になかった。  夕食に私はまた母に訊いた。  「母さん、本当にアルバム知らない?」  「知らないわよ。必要なの?」  母が煩わしそうな顔で言ったので「いや別に」と答えて話を打ち切った。  その晩、部屋で寝ながらアルバムの事を考えた。  どんな写真を貼っていたのだろう…  まず頭に浮かんだのは幼稚園の入園式と小学校の入学式と高校の修学旅行の写真の数枚だけだった。  それだけだったかな…  それから小学校で遠足に行った時の写真が思い浮かんだ。  他にも写真が沢山貼ってあってもうすぐアルバム一冊分になる筈だったのに思い出すのがその位だという事は大した写真は無かったのだろう。  私はそう思って眠りについた。
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