ハゲとある遺伝病との関係

5/6
前へ
/6ページ
次へ
私はこういうものだからと名刺を差し出してきた。見ると血が止まらない病患者支援の会「はばたいて」事業団、副理事長、梨沼と書かれていた。 そして右手を差し出して「情報料よ、情報料」と言い金を無心してきた。 スグルは催眠術にかかったかのように言われるがまま、財布から一万円札を渡した。 梨沼は「これであんたも出世間違いないわよ」と自信たっぷりに言った。 さっそく会社に戻り開発部長の川田部長に相談しようとすると鼻をほじりながら自分の机のPCでアダルトサイトを見ていた。 「部長、大きな収穫です」とスグルが川田部長に言うと。川田部長は気まずいせいか、物凄い勢いで見ていたアダルトサイトをひとつひとつ閉じていった。 そして、いたく不機嫌な口調で、「無礼者、用があるときはいきなり声をかけるな」と理不尽なことを言い、えらく立腹した様子だった。 「ですが、私は2回ほど部長に席から離れたところで声をかけたのですが」と相手に気を使いながら言った。 「それで、何だ。要件というのは、新しい取引先でも開拓したのか」とスグルに話しかけた。 スグルはその質問には敢えて答えず、「血がとまらない病とハゲの関係性」について報告した。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加