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ナルが消えてしまってから俺は水を求めて森の中をさまよっていた。
怪我も治っているし疲労感もなくなっていたが、渇きはそうはいかない。
「み、水…」
小一時間ほど森をさまよい、俺はついに小川を見つけた。
小川の水は底までしっかり見えるほど澄んでおり、綺麗だった。
ここにたどり着くまでに見つけた水場は汚い水たまりや池しかなく、この小川はまるで砂漠の中のオアシスだ。
すぐに膝をついて頭まで突っ込んで水をがぶ飲みする。
「はぁー生き返った~」
少し冷たい水温は俺の喉の渇きを癒し、頭をさっぱりさせてくれた。
もう一度水を飲もうと身を屈めた時、俺は異変に気づいた。
小川の水面に写る自分の顔…
なんか…若くなってないか?俺。
顎に触ると剃るのが面倒でそのままにしていた無精髭がない。
それどころか肌もツルツルで滑らかになっている。
あ、言い忘れたが俺は27歳だ。
この肌の手触り、滑らかさはまるで十代の少年のような…まさか!
波紋の治った水面をもう一度覗き込みしっかりと自分の顔を確認する。
そこには10歳は若返ったであろう自分の顔が写し出されていた。
「は…はぁぁぁぁぁぁ?!!」
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