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その時少し強い風が吹いて、髪で隠された俺の目元が露わになった。
右側はめくれたが左目だけはギリギリで隠す。俺の秘密。悪魔と言われた忌まわしい目。
半分は反射的にだったが、この世界でこの目がどう捉えられるかわからない以上、隠しておくに越したことはない。
そんな俺の顔を見たグランは、何かに気づいたように目を見開いて俺を凝視していた。
「えっと…アルフォードさん?」
それはもう穴が空くほど、グランは俺の顔をジーっと見つめていた。ガン見だ。
俺の顔になんかついてんのか?
「…ハッ、すまない!と、ところでレインくんは行く宛はないんだろう?
しばらくうちに滞在して言ってはどうかな?記憶が戻るまででも構わないし、君さえ良ければだが。」
なんだ?なんか急に道案内するだけから対応が格段に上がったな…
元の世界にいた頃は旅から旅の根無し草だったから野宿は別に苦じゃない。
傭兵団に所属していた時は、拠点はあったがあちこちの戦場を駆け回っていたから1つの場所に長期で滞在することはほとんどなかった。これは思い出したくない記憶の1つでもあるのだが…
「ありがたい話ですけど、そこまでしてもらうのは…それにいいんですか?俺みたいに得体の知れない奴を家に招いて」
「私は構わないよ、こう見えて貯えはそれなりにある、空いてる部屋もいくつかあるし、君さえ良ければ、だ。」
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