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「全く…大人をからかうんじゃない。だが君は本当に妻にそっくりなんだ。
そんな君が記憶を失くしていて行く宛もないというじゃないか、偶然の出会いとはいえ何かの縁だ。
君の力になりたいと思ったのさ。」
そんなに似てるのか…なんか尚更左目は見せられないな。異世界からきたことは口が裂けても言えない。
「街道の近くに私が乗ってきた馬を待たせてある。ここから歩いて5分程度だ。
君の今後やこの国のこととか、詳しい話は家に着いてからにしよう。
疲れてるなら今日は休んで明日でもいい。
直に日が暮れる。早くここから出ないとな。」
辺りを見ると段々と薄暗くなってきている。
あっちでは魔獣は夜行性のものが多かったが、それはこちらも一緒なのだろう。
こっちだ、と言って歩き出したグランの後に着いていこうと一歩踏み出した時のことだ。
「待ちなおめぇら」
ドスの効いた声が茂みから聞こえた。
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