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俺は咄嗟に距離をとると、声のした茂みに目を向ける。
するとどうやって隠れていたのか、茂みや木の陰から人相の悪い男達がぞろぞろと出てきた。全員剣を手にしている。
「街道沿いの小道に上等な鞍をつけた馬が繋いであったんでな、もしやと思ってきてみりゃぁ…思った通りだぜ。」
顔に斜めの傷跡のある男が、下卑た笑みを浮かべながら近づいてくる。
周りの男達もニヤニヤ笑っており、輪になるようにゆっくりと歩いてくる。取り囲むつもりらしい。
人数は15人、こいつら…野盗か。
「おまけにそっちの女はまだガキだが上玉じゃねぇか。高く売れそうだ。
その前にたっぷり楽しませてもらうがな。」
情欲を含んだ目で舐めるように上から下まで見つめられて、虫酸が走る。
どうやらこいつがリーダーらしい。
傷男の言葉を聞くや否や、グランが俺と傷男の間に割り込むように入ると剣を構えた。
これだけの人数に囲まれながらさほど取り乱した様子もないのは、何か武術の心得でもあるのだろうか。
「それ以上この子に近寄るんじゃない。」
おー、かっこいい。俺が女だったらキュンときたかも。
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