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敵の多さからか多少顔は強張っていたが、正眼に剣を構えるグランの姿はなかなか様になっていた。
ん?緊張感ないって?だってこいつら雑魚だもん。多分エフェクト使わなくても勝てる。
「この人数に勝てると思ってんのか?有り金とその女を置いてどっかに消えな。命だけは助けてやるよ。」
万が一にでも負けるとは考えていないのだろう。余裕しゃくしゃくで片手で剣を遊ばせている。隙だらけだ。
それまで黙って傷男を睨みつけていたグランだが、俺の真横まで下がると耳打ちをしてきた。
「レインくん、私が奴らの気を引いて時間を稼ぐ。君は街道まで逃げて、誰かに助けてもらうんだ。
東にまっすぐ進めば街道だ、もし乗れるなら私の馬を使っても構わない。」
明らかに相手は俺を戦力としては見ておらず、舐めきっている。
そしてグランも、まさか俺が戦えるとは思っていないだろう。
グランを置いて逃げるのは嫌だ。
まだ会って10分かそこらだが、グランは良い奴だ。…多分。
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