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『妙な力だ』
塊が攻撃の手を休めると、千切れた触手が再生し更に新たな触手が表面から生えてくる。
どうやら無尽蔵に触手を増やせるらしい。
「反則だろ、なんだそりゃぁ…」
傷だらけになりながらも男は笑っていた。
目指したのは最強、武の頂点。
剣と魔法が支配するこの世界で、異端と呼ばれた力
、その力を以ってしても致命傷を避けるのが精一杯
。
触手の密度と攻撃が決して反撃を許してくれない。
先程の攻防を繰り返すこと、すでに4回、もう余力はほとんど残されていない。
(…あと1発、全力で1発ぶち込む)
身体を開き、腰を低く落とす。
左手は前に、右手は胸の辺りで構えを取る。
追い詰められた手負いの獣、窮鼠。
しかし、何故だろう、男の胸は踊っている。
楽しい…。
楽しくて仕方がない。
鋭利な刃物のようにギラついた殺気をたぎらせながら、男は塊に向かって跳んだ。
迫り来る触手を爆破し、躱し、時に貫かれながら、男は跳んだ。
塊は目前、男は咆哮を上げながら最後の一撃を打つ。
「くらぇぇぇぇぇ!」
男が両手の掌を塊にぶつけると、。
巨大な爆発が起こり周囲は粉塵に飲まれた。
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