第1章 転生

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「うっ…」 頭が痛い、身体もあちこちが痛む。 どのくらいこうしていたかわからないが、先ほどの攻撃で気を失ったらしい。 「俺は…勝ったのか…?」 身体はもう動きそうにない、塊がどうなったかはわからないが気を失った俺が生きているということは奴を倒せたのだろうか? 『目が覚めたか?』 現状で一番聞きたくない声が聞こえて、俺は絶望感でいっぱいになった。 「生きてんのかよ…バケモンめ…」 正直喋るのもキツかったが最期に、俺に引導を渡した敵と言葉を交わしておきたかった 痛みに堪えながらなんとか首を横に向けると、そこには人間の大人ほどの大きさになった黒い塊があった。 『最後の一撃、見事だった。我に傷を負わせた人間は貴様が初めてだ』 表面はぶよぶよさせながら喋る姿は気味が悪いが、塊は心なしか喜んでいるように見えた。 もちろん、顔がないので表情はわからないが。 『貴様、名前は?』 「レ…イン、レインだ」 『そうか、レイン、我はナイアルラトテップ。この世界の神にして創造主、アザトースの意志だ』 意志…?こいつが…神じゃないのかよ…。 『レイン、貴様はもうすぐ死ぬ。その傷では長くは持たん、だが貴様は惜しい、魂を転生させる』 転生?何言ってんだ…こいつ 『久しぶりに面白いものと巡り会えた、精々楽しませてくれ、”次の世界”でな』 人が死にかけてんのに…ペラペラと…ダメだ…意識が…もう… ナイアルラトテップがまだ何か言っていたような気がするが、すでに俺の耳には入ってこなかった。 俺はゆっくり意識を手放した。
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