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「うっ…」
頭が痛い…これなんてデジャヴ…
ん?身体が痛くない?
頭には少し鈍い痛みがあるが、身体の方は痛むどころかいつもより軽いぐらいだった。
試しに起き上がって少し動いてみると、戦う前よりも軽く思えた。
「怪我が…治ってる」
あれほど手酷くやられたはずの怪我は綺麗さっぱりなくなっており、傷跡すら残っていない。
『目が覚めたか?』
だからこれ…まぁいいや。
俺が声のした方に目を向けるとそこには当然のように黒い塊…ではなく漆黒のドレスを身に纏った女が立っていた。
腰まである黒のロングヘア。
前髪は眉の辺りで切り揃えられている。
鋭い切れ長の目は一見すると冷たそうだがその視線は穏やかだった。
薄い唇は淡く微笑みの形を作っており、何かを面白がっているような印象を与えた。
「…誰?」
俺が呆気にとられていると女はクスリと笑う。
こいつ笑うとかわいいな。
『ナイアルラトテップだ。先程ぶりだな』
…ないあるらとてっぷ?さっきの黒い塊?あの気持ち悪い巨大卵?
『心外だな、わざわざ人間の姿になってやったのに』
俺が口をパクパクさせていると女はニヤニヤしながら腕を組んだ。その姿もなんだか様になっている。
じゃなくて…あれ?ってか俺今口に出してなくね?
『お前の頭の中を少し覗いた。
人間という生き物は実に面白いな、色々学ばせてもらった』
俺のプライバシーが…
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