第1章 転生

4/8

30人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
『人間など取るに足らない生き物だと思っていたが、割と複雑にできているのだな。 個体によって優劣があり、強者に弱者が従う…この辺りは動物と変わらないが、高い知性をもち、群れを作りながらも個を重んじる。不思議な生き物だな。』 まるで面白いおもちゃを見つけた子どものような表情で、ナイアルラトテップは1人でうんうん頷いている。 『お前の中にあった人間という概念を複製して取り込んだ、はっきり言って疑問に思うことは多々あるが、ある程度は理解した。』 とんでもないことをサラッと言ってのける女…もといナイアルラトテップに対して聞きたいことは山ほどあったが… 「ところで、なんで女なんだ?っていうか姓別とかあるのか?」 俺の質問がきょとんした表情をしたが、何がおかしかったのか声を出して笑い始めた。 「お、おい…」 『クク…すまないな、しかしよりによって最初の質問がそれか?もっと他に聞くべき事があるのではないのか?』 確かに聞きたいことは山ほどあったがそれが一番気になっていた。だって見た目だけならめちゃくちゃタイプなんだもん。 俺の頭の中を覗いて人間を学んだとか言っていたから俺の好みが投影されたのだろうか? 『人間の…特に男は女が好きなのだろう? 容姿に関してはお前を参考にした。』 俺?俺の女バージョンてことか? 俺は一瞬女装した自分を思い浮かべ、さらにその自分をタイプだと感じた自分に対してショックを受けて少し落ち込んだ。 『そんなくだらないことはもういい、それよりもお前にこの世界のことと、お前自身のことを説明しておく。しっかり聞け』
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加