第1章 転生

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ナイアルラトテップの説明はこうだった。 ってか名前長いからもうナルでいいや。 ・俺はナルとの戦いで肉体に多大なダメージを受け、蘇生させることが難しかったため魂を別の世界に転生させ、元の世界の俺を完全かつそれ以上に高めて複製した肉体に入れた。 ・転生させる際にナルが力を俺に注ぎ込み、俺はこの世界では最強の存在となったらしい。ある意味夢が叶ったのだが…俺は自分の力で達成したかったのでいらんお節介だ。 ・元いた世界での俺の存在は”なかったこと”になっており、戻ることは可能だが俺の生きた軌跡は全く残っていないらしい。 まぁ一回死んだようなもんだから仕方ないか…。 俺の世界では魔法が誰でも使えたが、この世界では限られたものしか使えないということと、剣も魔法と同様、大きな力だったがこの世界では魔法の前では剣がほとんど役に立たないこと、そして魔法そのものが大きく異なること。 それを説明するには少し長くなるが、俺の元いた世界と俺の出自を語らなければならない。 俺の元いた世界の魔法とは火・水・風・土・雷の5属性に加え、希少な闇・光が主とされていた。 属性は1人につき1つ、複数の属性は扱えずさらに属性の相性による絶対的な壁があった。 例えば水は火に強く、火は風に強い。 火属性の術者が水属性の術者に対等に渡り合うにはその3倍の技量が必要とされていた。 俺が持っていた属性は火、そして闇・光以上に希少、伝承の中に登場する悪魔、ルシフェルが使用したとされる幻の属性、破壊属性。 破壊属性は文字通り全てを破壊する魔法、属性による相性を無視し、術者の技量に関わらず魔法そのものさえ破壊してしまう規格外の力。 ただでさえ希少な破壊属性、そして火属性の2属性持ち。 さらに俺の目、普段は前髪で隠しているが俺の目は明らかに普通ではなかった。 右目の瞳の色は赤、それ自体はとくに珍しいものではなかったが問題は左。 俺の左目は瞳孔が黒かったが角膜は真っ白だった。つまり極端な三白眼のような目で、一般的な人間のそれではなかったのだ。 俺が産まれて間もなく悪魔の子として忌み嫌われ、捨てられるには十分な理由だった。
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