父の死

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「ケイト・リンドバーグ殿で間違いないだろうか」 「ええ、ケイトは私ですが……。今日はどういったご用向きでしょうか」 「君には、一人の人物を匿ってもらいたい。最重要の要人だ、くれぐれも丁重に頼む」  いち庶民である私には荷が重すぎる話だ。けれど、相手は近衛兵。今回は国王陛下の代理人としてやって来たのだろう。であれば、断ることなど出来はしない。        「分かりました。国王陛下の勅令とあれば、喜んでお引き受け致しましょう」 「話が早くて助かるよ。その通り、これは陛下からのお達しだ。君に拒否する権利は無い。けれど、そんなものが無くともケイト殿であれば引き受けてくれただろうね」 「私であれば? 報酬が多い、ということでしょうか。でしたら助かります。亡くなった父の墓さえも満足に建てられていないのですから」 「そう、君の父君のことだよ。この依頼は国王陛下の勅令であるとともに、君の父君の遺志でもあるんだ」
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