吉田稔麿、まぼろしに泣く

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吉田稔麿、まぼろしに泣く

江戸時代末期、討幕派の鬼才・吉田松陰を師と仰ぎ、松下村塾四天王として教えをこうた吉田栄太郎。 だが敬愛してやまぬ師が謀反の疑いをかけられ、唐突に江戸へ連れ去られた。 残された生徒たちには生きた心地もない。 無類の掃除魔である吉田は、閉鎖された塾の代わりに用意した空き家をより丹念に掃除し始めた。 まるでとりつかれたように他人のあら探しまでするので、ついたあだ名が小姑(こじゅうと)。 「なあ、先生がのうなってから小姑ん潔癖に拍車ぁかかっとんとちゃうか」 「それそれ」 いやみな噂を耳に入れようが、一切かえりみない可愛げの無さにみな呆れ果てた。
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