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「じゃ、帰ろう」
「…仕方ねぇから帰ってやるよ」
「アハハ、いつもの隆樹だ」
嬉しそうな顔で満足したのか、保健室の扉を完全に開けて出て行く後ろ姿は……少しだけ母親と重なった
けど
「あっ、手繋いで車まで行く?」
「馬鹿じゃねぇの?バレるわ」
「いやいや。こんなに暗いのにバレないよ」
ボサボサで地味な私服なのに、雅は俺の前に手を差し出す
いつもの俺なら、こんなの無視しているだろう
ふざけんなって怒るだろう
でも…今日くらいは、今だけなら良いかなと思った
俺は溜め息を吐いて渋々て仕方なくといったようにその手を握った
「今だけだからなっ」
手を握られたからか雅は少しだけ驚いた顔をしたが、直ぐに嬉しそうに頬を染めて俺の手をギュッと握り返してくれる
母親と重なったけど、この後ろ姿の男は俺を置いては行かないと知っている
車に着くと直ぐに繋いだ手を離した俺に、雅は残念そうに笑って運転をする
俺達は今日の出来事を話し合いながら家に帰った
たまには、こんな日があっても悪くないと思うくらい居心地のいい時間だった
玄関に入って靴を脱ぐ俺は、忘れていた
「さて、早速だけど隆樹を食べようか」
「んっ!?」
「言ったよね。帰ったらメチャクチャにするって♪」
今にも襲い掛かりそうな雅の顔はもの凄くニヤついている
「え、ちょ!タンっ」
「ムーリ♪」
「~~~~っのエロ魔神があぁー!!!」
襲われた俺は、そののち腰を痛めるくらいにはヤられイカされたのだった
…………前言撤回する
こんな日はもう来なくていい、と
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