第三話『日常』

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  勉強はできる方で、いつも学年の上位にいるから周りはあんまりしつこく言ってこない だから、休みがちでも文句は言われない …アイツを除いてはな お昼休みになるとクラスは賑やかに食事をし始めて、俺はというと教室から出て迷う事なく保健室へと向かった 「…雅先生はいますかー」 「ああ、居るよ。今日はちゃんと授業受けたんだ?」 「当たり前だろーが。これでも学生なんで」 残念そうな顔をして明らかに落ち込むコイツこそが、今の俺の恋人である北条雅だ 朝から教室に居ない日は大抵この男のせいな訳で、好き好んで朝のホームに出ない訳じゃない 「それで?お昼休みにわざわざ僕に会いに来てくれたのかな」 「白々しいな、アンタ…弁当取りに来ただけだ。朝またワザと渡さなかったな?」 「ん?何のことかな。僕は純粋に渡すのを忘れちゃっただけだよ」 明らかに嘘だと思わせる笑顔を浮かべる雅に俺は溜め息を零した 俺も俺だが、コイツとの同棲を隠しているから時間はズラしていて先に出るのはいつも雅だった 人が着替えてる間に弁当ごと家を出て行きやがってと内心思う俺だが、流石に慣れて来たので素直に諦める こういうのを月に二~三回される 防ごうにも弁当は雅が作るし、いつされるか予測出来ない為に防げないのだ で、こういう時は大抵決まって一緒に食べる 多分だけど、こうして一緒に居る時間を作りたいんだろうなと俺の勝手な予想だ だから仕方なく、一緒に食べてやるんだ ……別に、嫌とは思ってない ただ単純に…こうゆう感じのは慣れないだけで 「ほら、早く食べないとお昼休み終わっちゃうよ?」 「……ん」 それに、コイツの弁当は冷めてても暖かい気持ちにさせてくれるから……結構好きなんだよな 本人には言わないけどね   
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