雨の電話ボックス

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「ようやく、お話しできたわね」 携帯電話から濁った声が聞こえてきました。 やられたと思いました。 彼女はおそらく待っていたのです、私と接触のできる絶好のタイミングを。 通常であれば、着信元を確認した時点で逃げ出していました。 女の不意打ちに驚き、電話を耳に当てたまま立ち尽くしていましたが、女は続けて電話越しに呪いの言葉を吐きつづけました。 「あいつが私を裏切って、あんな女のところに行って、くそ、くそ」 恐怖ですぐにも逃げ出したかったのですが、身体の方が痙攣したようにこわばって声一つ上げることもできませんでした。
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