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後ろの公衆電話を振り帰ると女はいつもの様に電話ボックスの中に佇んでいました。
そのとき私は自分が橋の真ん中の柵を跨いでいることに気が付きました。
下には増水した川が唸りを上げて流れていました。
「憑り殺されるところだった」
妹の電話がなければ、柵を乗り越えて、自ら川の中に飛び込んでいるところでした。
「ありがとう、助かったよ」
「えっ、どういうこと、助かったって?」
「ううん、何でもない、今から迎えに行くから」
妹に答えると、私は足早にその場を離れました。
その後、二度とその電話ボックスに近づくことはありませんでした。
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