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貴方とは出会ってはいけない
貴方と出会ったら最後、私は終わる
それはもう何年も前から決められていて
私には未来が見えているのだ
危機を知らせるように同じ未来を何度も、何度も
「……次に出会うのは明日か」
たった今、脳内に浮かんだ未来図
明日私は会社の飲み会に誘われて、行った先で財布を落とす。それを拾って届けてくれるのが貴方
「飲み会には行かないようにしよう」
回避ルートを探して実行する
これはもうずっと前から続けていること
最初に貴方と出会う未来を見たのは去年の春だからもうかれこれ1年も経つ
「……何度回避すればいいんだろう」
先程、未来予知は「危機を知らせているような」と言ったけどそれはあくまで私の推測だ
本当の理由なんてわからない。ただひとつ断言できるとすれば、私達にとってその出会いは良いものではないということ
私の見える未来はとても抽象的で、始まりと終わりしかわからない
出会って私達は恋に落ちる
そして何故かすぐに─────
……いいや、なんでもない
「そろそろ寝ないとね」
時計を見ると23時をまわっていて明日も朝早いことを思い出す。私は急いで部屋の電気を消して布団に潜った
どうか明日も貴方に出会いませんように
そんなことを願って瞼を閉じた
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